建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度とは?経審の加点について解説

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令和8年7月1日から、経営事項審査(経審)の審査項目に「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無が新たに追加されました。



この制度は、建設技能者の処遇改善に積極的に取り組む企業が、その取組内容を自主的に宣言する制度です。

自主宣言を行い、一定の要件を満たすことで、経営事項審査において加点を受けることができます。

公共工事への入札参加を考えている建設業者にとっては、確認しておきたい新しい経審の評価項目といえるでしょう。


「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」とは?


「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は、建設技能者を大切にし、その処遇改善に積極的に取り組もうとする企業が、その旨を対外的に宣言する制度です。



愛称は「職人いきいき宣言」とされています。

建設業界では、担い手不足への対応や技能者の処遇改善が大きな課題となっています。

そこで、技能者の賃金や労働環境の改善などに取り組む企業を「見える化」し、発注者や取引先、求職者などから適切に評価される仕組みとして、この制度が設けられました。

自主宣言を行った企業については、企業名や宣言内容などが国土交通省の専用ポータルサイトで公表されます。

▶ 国土交通省「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」ポータルサイト


令和8年7月から経審の加点対象に


令和8年7月1日の経営事項審査制度の改正により、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言状況が新たな審査項目として追加されました。



経審では、経営規模や経営状況、技術力だけでなく、社会性等についても評価が行われています。

今回の改正では、この社会性等を評価する「W点」に関係する審査項目として、自主宣言制度が追加されています。

自主宣言について所定の要件を満たした場合、審査項目として5点の加点を受けることができます。

経審の点数は、公共工事の入札参加資格審査や格付けなどにも関係するため、経審を受審している建設業者にとっては見逃せない改正です。

岐阜県における令和8年7月1日以降の経審制度改正については、岐阜県公式ホームページでも案内されています。

▶ 岐阜県「経営事項審査の広場」


自主宣言をすれば自動的に加点されるわけではない


注意したいのは、自主宣言を行っただけで、自動的に経審の点数が加算されるわけではないということです。



経審で加点を受けるためには、審査基準日が自主宣言の「宣言日」以降である必要があります。

さらに、経審の申請時には「宣言書」と「誓約書」を提出する必要があります。

岐阜県の場合、誓約書として「様式第7号『建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度』に関する誓約書」を使用します。

つまり、経審の審査基準日と宣言日の前後関係が非常に重要です。

これから自主宣言を行う場合には、自社の決算日や次回の経審の審査基準日を確認したうえで手続きを進めることをおすすめします。


どのような内容を宣言するのか?


自主宣言では、建設技能者の処遇改善に向けた取組などを宣言します。



具体的には、労務費や材料費等の内訳を明示した見積書の作成、CCUS(建設キャリアアップシステム)の利用環境の整備、宣言企業との取引を考慮することなどが制度上の取組として設けられています。

また、企業独自の取組を宣言することもできます。

なお、自主宣言は「元請事業者」「下請事業者」「発注者」のいずれかの立場を選択して行います。

元請事業者または下請事業者のどちらの立場で宣言した場合でも、要件を満たせば経営事項審査の加点対象となります。


これから取り組む内容でも宣言できる


自主宣言というと、「すでにすべての取組を実施していなければ宣言できないのでは?」と思われるかもしれません。



しかし、この制度では、将来実施する予定の取組について宣言することも可能です。

その場合には、宣言する取組のうち実施時期が最も遅いものに合わせて「取組開始日」を設定します。

ただし、取組開始日は宣言日から1年以上先に設定することはできません。

経審では、審査基準日と取組開始日の関係によって、「今後取り組む」場合と「すでに取り組んでいる」場合を区別して誓約することになります。


自主宣言の手続き方法


自主宣言は、国土交通省の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の専用ポータルサイトから申請します。



まず、自社が「元請事業者」「下請事業者」「発注者」のどの立場で宣言するのかを選択します。

そのうえで、必須となる宣言項目や任意の宣言項目を確認し、自社が取り組む内容を決定します。

さらに、宣言内容についての取組開始日を設定し、ポータルサイトから申請を行います。

自主宣言は代表者名で行い、登録後は企業名、代表者名を含む宣言内容がポータルサイトで公開されますので、この点も事前に確認しておきましょう。

実際に自主宣言を行う場合は、以下の国土交通省公式ページから申請できます。

▶ 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」申請ページ


岐阜県の経審で加点を受けるために必要な書類


岐阜県の経営事項審査で自主宣言制度による加点を受ける場合には、宣言を行うだけでなく、経審申請時の書類も準備する必要があります。



主に必要となるのが「宣言書」と「様式第7号の誓約書」です。

宣言書については、自主宣言制度のポータルサイトにある「宣言企業検索」から自社を検索し、詳細画面の宣言内容からPDFをダウンロードします。

▶ 国土交通省「自主宣言企業検索」

誓約書には、宣言日や取組開始日などを記載します。

特に重要なのが、「宣言日が審査基準日より前であること」です。

決算が終わってから自主宣言を行った場合、その決算日を審査基準日とする経審では加点を受けられないことになります。

そのため、自主宣言制度による加点を検討する場合は、経審を申請する直前ではなく、決算日より前に確認しておくことが重要です。


経審対策は「決算後」では遅いこともあります


経営事項審査では、申請書を作成するときになって初めて点数対策を考えても、間に合わない項目があります。



今回の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」もその一つです。

審査基準日が宣言日以降であることが加点要件となっているため、決算日を過ぎてから自主宣言を行っても、原則としてその審査基準日の経審には反映できません。

経審の点数アップを検討する場合には、決算を迎える前から、自社が取得できる加点項目を確認しておくことが大切です。

自主宣言制度だけでなく、建設キャリアアップシステム(CCUS)、技術職員、CPD、技能者、建設機械など、経審には事前の準備によって評価が変わる項目があります。


まとめ


「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は、建設技能者の処遇改善に取り組む企業を評価するために設けられた制度です。



令和8年7月1日からは経営事項審査の新たな審査項目となり、所定の要件を満たすことで加点を受けることができます。

ただし、経審で加点を受けるためには、審査基準日が宣言日以降であることなどの要件があります。

「次の経審で宣言すればいい」と考えていると、宣言するタイミングによっては加点を受けられない可能性がありますので注意が必要です。

経営事項審査は、申請時の書類作成だけでなく、決算前からどのような準備を行うかによって点数が変わることがあります。

岐阜県で経営事項審査を受審される建設業者様で、「次回の経審でどのような加点が可能なのか」「自主宣言をいつまでに行えばよいのか」など、ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。