経営業務の管理責任者:どんな人がなれる?5年以上の経験の証明方法は?執行役員や補佐業務経験って何?【建設業許可解説#6】

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建設業許可の6要件
▼経営業務の管理責任者(常勤役員等) ←今回
▼社会保険等加入
▼専任技術者
▼誠実性
▼財産的基礎等
▼欠格要件


適切な経営能力を有すること(経営業務の管理責任者等)

建設業許可申請をするにあたって、最も重要な要件の1つが「経営業務の管理責任者」です。
「経管(ケイカン)」と略称で呼んだりすることが多いですが、
ざっくり説明すると「建設業に関して経営の経験がある人を会社に置く」ということになります。
「経営の経験」なんて聞くと構えてしまいますが、要するに一定期間「社長」や「取締役」である、または過去にそうだった人であればOKです。

ただ、口頭で経験があるといっても認めてもらえません。
申請書に書く内容は、その事実を客観的に証明できる確認資料の添付が必要となることが多々あります。
経管の証明にも確認資料が必要となりますが、これが都道府県によって異なることがよくあります
A県では必要のない書類がB県では必要となり、証明の難易度が都道府県でバラバラになります。

確認資料は軽く触れるにとどめておきますが、では実際どんな人物であれば「経管」として認められるのでしょうか。
ここでは岐阜県の場合について見ていきます。
(以下、表は岐阜県建設業許可の手引きより引用)

(1)常勤役員等(個人事業主の場合は本人又は支配人)のうち1人が次のいずれかに該当すること


ア  建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

これが一番よくある代表的なパターンです。
建設業に関して常勤で、
・株式会社(有限会社)の代表取締役、取締役、執行役  ⇒ 履歴事項全部証明書で確認
・合同会社の業務執行社員               ⇒ 履歴事項全部証明書で確認
・個人事業主の場合は、本人、支配人          ⇒ 所得税確定申告書(5年分)で確認
といった方々で5年以上その地位にいればクリアです。
(※非常勤役員・監査役は不可)

個人事業主の方は、その経験の確認資料として5年分の確定申告書が必要となりますが、
確定申告書の「職業」欄に希望する許可業種の記載がないと、年1件以上の契約書又は注文書の写し等の提出を求められる場合があります。
また、5年連続したものでなくても可とされています。

余談ですが、他県では法人の場合、履歴事項全部証明書+5年分の契約書や注文書で証明することが多いようです。
岐阜県は比較的容易な証明方法ですね。


イ  建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者

「準ずる地位にある者」の中でもカッコ書きで限定された方です。
具体的にどんな方かというと
取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた人物であって、業務執行方針に従って、代表取締役の指揮および命令のもとに、具体的な業務執行に専念した者です。

取締役会設置の会社で、例えば執行役員という肩書で建設業分野に関して権限が与えられ、その経験が5年以上ある場合等がありますが、前の勤務先の協力を仰ぐ必要があったりと実務上はあまり見ないパターンです。

確認書類はここでは省略しますが、この地位の証明や経験の証明は許可行政庁によって判断が分かれるところであり事前相談が必須です。


ウ  建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

イと違うのは「準ずる地位にある者」の後のカッコ書きありません。つまり制限がなくなり広い方々が対象になります。
「準ずる地位にある者」とは「業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者」です。
「補佐する業務に従事した経験」とは、許可を受けようとする建設業に関して施工に必要な①資金の調達②技術者及び技能者の配置③下請業者との契約の締結といった経営業務に従事した経験をいいます。

例えば、法人においての部長や同程度の肩書のある人が挙げられますが、これもイと同じく確認資料を集めることが難しいケースとなります。

このウに当てはまるものとしては法人の場合よりも、個人事業主である父の下で働いている息子で、6年以上「専従者」として補佐経験がある、といったケースが多いです。
この場合は確定申告書に「専従者」として氏名の記載があれば、その証明の1つとなります。


以上が、経管要件(1)の説明となります。

先程も述べましたが、アの「役員等経験5年以上」で申請することが圧倒的に多いです。
条件が分かりやすくて比較的容易に証明書類を集めることができそうですよね。

イ・ウに関しては条件が複雑ですが、該当する心当たりがあればトライしてみるといった気持ちのほうがいいと思います。

「5年満たないけど…」「補佐経験はこれで大丈夫?」といった相談でも喜んでお受けいたします。
お気軽にお問い合わせください。


さて、次回はもう1つの基準について解説していきます。
2人以上の経営体制で経営業務の管理責任者要件を満たすものになります。