無許可産廃収集運搬で代表ら有罪判決、会社にも罰金刑【ニュース解説】
産廃を無許可で収集・運搬 解体業者の代表ら2人に有罪判決 会社にも罰金150万円 山梨
無許可で産業廃棄物を収集・運搬した罪に問われていた南アルプス市の解体業者の代表ら2人に31日、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
産業廃棄物処理法違反の罪に問われていたのは、南アルプス市の解体業者Pと代表のK被告(45)、廃材運搬業務を担当していたN被告(58)です。
31日の公判で甲府地裁はK被告に懲役2年、執行猶予3年と罰金30万円、N被告に懲役1年、執行猶予3年、また法人としての会社に罰金150万円の判決を言い渡しました。
Pを巡っては、基準量の20倍にあたる産廃を北杜市内に山積みにしていたとして県が改善命令を出し、その後、撤去されています。
引用:Yahoo!ニュースより、一部筆者により伏せ字
この業者は2020年に県から許可を取り消されて以降も、産廃を収集して保管場所に運搬していたようです。
判決の内容がわからないので、罪の軽重については述べませんが、一般的に無許可営業には次のような罰則が用意されています。
「収集運搬の無許可営業」は行為者に対して「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(産業廃棄物処理法第14条第1項違反、法第25条第1項第1号による罰則)とされ、
さらに法人に対しては両罰規定として「3億円以下の罰金刑」と厳しく罰せられます(法第32条第1項)
とりあげたケースでは、会社代表のK被告と産廃担当者N被告に懲役刑(執行猶予あり)と罰金刑、また法人としての会社に罰金刑の判決が出ていますね。
委託する側も注意が必要
さて、ちょっと注意していただきたいのが、もちろん無許可営業を行った業者は言語道断なのですが、この業者に産廃の収集運搬を委託した会社も、罪を問われる可能性があるということです。
これを「委託基準違反」といいます。
責任問題の話になりまして、本来は産業廃棄物を処理するというのは、産廃を出した業者(「排出事業者」といいます)がその責任を負うとされています。そして自社では処理できない場合、許可を持った産廃業者に収集運搬・処分をお願いしている、という法律上の仕組みになっています。
そして、元々の産廃処理の責任は元請業者にあるわけですから、委託した場合はその処理状況を確認して、最終処分まできちんとなされているかをチェックしないさい。できていなければ何とかしなさいよということになっています。
何とかできなければ、最悪刑事告訴され、無許可営業をした業者と同じ「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又はこの併科」となる可能性があります。
これはなかなか知られていないことだと個人的には思っています。
現に排出事業者の方で違反と指摘されても、そもそも何が違反なのか分かっていないというケースもあるようです。
今一度、排出事業者の皆さんは自社の体制は大丈夫か確認してみてくださいね。