建設業許可申請専門の行政書士が解説!事業年度終了届について(1)
はじめに
建設業許可を取得されている皆様、事業年度終了届(決算報告)はきちんと提出されていますか?
事業年度終了届は、建設業法で定められた重要な手続きの一つです。
しかし、「面倒だから後回し」「よくわからないから」といった理由で、提出を忘れてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムでは、事業年度終了届の重要性や作成方法、提出が遅れた場合のリスクなどについて解説します。
事業年度終了届とは?
事業年度終了届とは、建設業者が毎年事業年度の終了後に、その事業年度の工事実績や財務状況などを所轄行政庁に報告する手続きです。
都道府県によっては決算報告、決算変更届と呼ばれます。
事業年度終了届の提出は建設業法に基づく義務となっています。
事業年度終了届は提出すると、副本が県庁の閲覧室に送られ、誰でもその内容を閲覧することができます。
「工事経歴書」や「財務諸表」といった工事実績や財務状況も公表されるため、
例えば会社の取引先といった関係者も調査のために閲覧することがあります
(ただしコピーや写真撮影は禁止、メモのみです)。
逆に言えば、毎年提出していなかった場合「この業者さんは大丈夫かな?」と不信感を抱かせてしまう可能性もあるのです。
提出しないとデメリットが…
事業年度終了届を提出しないと、以下のデメリットがあります。
- 建設業許可の更新ができない:建設業許可の更新申請を行う際に、事業年度終了届が1年でも未提出であると更新ができません。更新は5年ごとなので5期分忘れずに提出しましょう。
- 新たな業種の許可を受けられない:業種追加の許可申請を受けようとする際に、事業年度終了届が未提出であると許可が下りません。
- 経営事項審査の申請ができない:経営事項審査を受ける場合は、事業年度終了届の提出が必須です。
提出をしなかったからといって、大きなペナルティがある訳ではありませんが、いつかは必ず提出することになる書類です。
更新申請前に慌てて5期分を作成して…とやっていたのでは、肝心の更新が間に合わず許可失効の憂き目に合うことも考えられます。
実際、私も5期分の事業年度終了届を失念されていたお客様のご依頼を受けたことがありますが、
5年分の工事実績と決算内容を整理して書類を作成するのはなかなか骨が折れます。
お客様も注文書や確定申告書の準備などで大変な様子でしたし、また費用面でも痛い表情をされていました。
このコラムをご覧いただいている方で提出を忘れている方は、ぜひ早めの対応をおすすめします。
次回は「工事経歴書」をはじめとする提出書類の作成方法についてご紹介します。お読みいただきありがとうございました!